『雁渡り 照降町自身番書役日誌』今井絵美子

日本橋北内神田堀江町、小舟町、小網町の三町は、雪駄屋、下駄屋、傘屋の問屋が軒を連ね、一方は晴天を、一方は雨天を望むので、通称照降町と呼ばれている。理由あって武家を捨て町人として小舟町の自身番書役を務める喜三次。自身番に持ち込まれる事件に怒り、悲しみ、涙し、癒され、町の人に助けられ三年が過ぎた。仕舞た屋の住人、裏店に住む町人たちの人間模様をほのぼのと描く書下ろし時代小説シリーズ第一弾。

時代小説も色々とニッチを探してるようで、これは番屋の書役が一応主人公。自分が知らないだけで番太が主人公のとか、ぼてふりの魚屋が主人公とかのもあるのかななどと余計なことも思ったりしつつさっくりと読了。シリーズ一作目の本書では書役は話の縦糸ではあるけれど、主人公と言う程でもない。主人公は照降町のみんなかな。
面白くてすっと読めたのだけど、ところどころ江戸時代には使われていなかっただろう言葉が使われていて照降町から現実に引き戻される。地の文に使われてるのはあまり気にならないのだけど、台詞に入ってるとちょっとね。