『王の眼』江森 備

母親、従兄とともに市井に暮らす少年が一人。実はその身の上は謀殺された先王の忘れ形見だった。紆余曲折の果てに玉座を取り戻すまでの物語。
ある意味よくある「貴子放浪譚」。四分冊の一冊ずつが起承転結のそれぞれになっている構成だが転がいささかしつこいと言うか、ほとんど衆道話に終始してちょっと食傷気味。エジプト神話に材を取ったと言うのは面白いが、これだけしつこく男同士の行為を繰り返されると、むしろ書きたかったのはこちらではないかと思うぐらいなので、その手の話に抵抗の無い読者向けだろう。